「労働力確保できる経営戦略を」日本銀行新潟支店長講演会
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日本銀行新潟支店の平形尚久支店長を講師に迎えた経済講演会「新潟経済の現状と課題」を昨年12月25日、 ジオ・ワールドビップで開催した。講演会はZoomを併用したハイブリッド形式で実施した。 会場42社58名、Zoomでは9社9名の企業関係者が参加したほか、三条市議会議員や三条市の職員らも聴講した。 平形支店長は日本全体、そして新潟県における経済の現状を、豊富なデータと鋭い分析をもとに解説。現在 の日本経済は緩やかに回復しているが、多くの人がその実感を得にくい要因として、エネルギー価格の高騰や 労働時間の減少による可処分所得の減少を挙げた。また、所得格差が広がる中で、回復を実感できる層とそう でない層に分かれることも影響している。こうした背景を踏まえ、平形支店長は「回復の波に乗るためには、 中小企業がどのように経営戦略を立てるかが重要」と強調した。人手不足と賃金上昇 当地域に限らず、多くの企業が課題とする人手不足と賃金上昇の関係については、「1990年代から日本の 生産年齢人口は減少しているが、2010年頃から女性や高齢者の労働市場への参加が進み、就業者数は増加 傾向にあった。しかし、団塊の世代の引退が進む中で労働供給の余地は急速に縮小しており、人手不足は 今後も続く見通し。新潟県では、全国と比べてもこの傾向が顕著であり、労働力確保が経済成長のカギとな ると指摘」。企業の倒産理由として人手不足、原材料高が全国、県内とも挙げられているが、県内では業歴 30年以上の企業の倒産が目立つという。 アメリカ経済と金融施策 アメリカと日本の経済を比較しつつ、日本の金融政策についても解説した。アメリカでは所得格差が広がり つつもGDPは成長しており、金融政策として利下げが進められているが、その頻度は減少している。一方、 日本では賃金や物価、為替の動向を見極めつつ、見通し通りであれば利上げが続く可能性があり、「景気の 改善を実感していない人が多いと認識しつつも金利を上げていかざるを得ない」という。よってアメリカの 金融政策と為替の動向を引き続き注視する必要がある。 所得上昇にDX化避けられない 今後の経済成長のカギについては「人口減少の中でも1人あたりの所得を上げていくこと」と指摘。 「人口減少の中で所得を上げていくため、地域、事業規模や業種を問わず「DX化やAIの活用によって生産性 を上げていくことが避けて通れない」と参加した事業者らに呼び掛けていた。